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不妊症「精索静脈瘤のための自己検診」

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精索静脈瘤のための自己検診

精索静脈瘤とは

精索静脈瘤は、精巣周辺の陰嚢に静脈瘤(静脈が拡張してできたコブ)ができた状態をいいます。本来は精巣から腎臓の静脈へと流れるはずの血液が逆流してしまうため、精索静脈がコブのようにふくれてきます。 ひざ裏や下肢に太くなった血管が浮き出ている人を見かけることがあります。このコブ状に見えるのが静脈瘤で、同様のコブが精巣の周りの血管にできるのが精索静脈瘤です。 なお、精巣(せいそう)は、以前は睾丸と呼ばれていました。また、陰嚢(いんのう)とは、俗に「玉袋」と呼ばれる精巣を包んでいる袋のことです。

男性不妊の原因になります

精索静脈瘤は精巣の温度上昇や血流障害を起こし、造精機能の悪化や精巣萎縮の原因になります。このため、乏精子症や運動精子率の低下など、男性不妊の原因になります。また、精子DNAの損傷のため、女性の受精、着床、妊娠継続に不利になる可能性があります。

精索静脈瘤は比較的よくみられ、一般男性の15%、男性不妊症患者の40%に認められます。また、続発性不妊、いわゆる二人目不妊の78%は精索静脈瘤が原因です。

WHO(世界保健機関)では、「9034人の不妊男性を調査した結果、精液所見が悪い男性の25.6%、精液所見が正常の男性の11.7%に精索静脈瘤が認められた」と報告しています。

つまり、精液検査が正常値の男性、あるいは一人目の赤ちゃんを自然妊娠で授かった男性であっても、精索静脈瘤が隠れている可能性があり、未治療のままでいると、いざ赤ちゃんが欲しいと思った時にできにくい心配があります。

また、精索静脈瘤は男性ホルモンを作る細胞の働きを低下させるため、不妊の原因になるだけでなく、将来、男性更年期障害(LOW症候群)を起こす原因になります。

早期治療のメリット

精索静脈瘤は外科手術による治療が可能です。米国生殖医学会、米国泌尿器科学会のガイドラインでは、男性不妊の場合、不妊治療の最初に精索静脈瘤の治療を勧めています。日本でも、最近は男性不妊専門医による早期治療が行われるようになっており、早い治療によるメリットはさまざまあります

■根治治療により不妊原因が取り除かれ、その効果は将来にわたって期待できます。
■女性側に不妊原因がない場合、自然妊娠あるいはタイミング法や人工授精など、体内での自然な受精による妊娠の可能性が高くなります。
■無精子症の方でも手術治療後、精液内に射出精子が出現し、自然妊娠される方もいます。
■現状で高度生殖医療が必要な方であっても、治療法をステップダウンできる可能性があります。
■精子のDNA損傷を減らすことが明らかになっています。

●当院では、精索静脈瘤の早期発見に努めています。
●不妊外来を受診する方、精液検査をご希望の方は、ぜひ、精索静脈瘤自己検診票に記入の上、ご持参ください。
●精索静脈瘤の可能性がある方には、男性不妊専門医(泌尿器科)をご紹介いたします。