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自然妊娠力を高めるための治療とアドバイスを中心に安心と信頼と心の通うクリニック

不妊症「タイミング法・人工授精」

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タイミング法

タイミング法は、医師が排卵時期を正確に予想し、性交のタイミングを指導することで、妊娠へと結びつける方法です。

市販の排卵チェックを使うなどの自己流の方法とは全く異なる医学的根拠に基づいた方法で、人工授精(AIH)とともに、一般不妊治療のひとつです。

なお、タイミング法は自然な性交による妊娠を期待する方法なので、男性は精子数や運動率などが正常であることが大前提となります

排卵時期の予測

排卵時期は、経腟超音波検査で卵胞の発育経過を観察し、合わせて血中ホルモン値を測定するなどして判断します。通常、卵胞が20㎜前後になると排卵が近いと判断でき、性交のタイミングを指示します。

ホルモン剤の併用

必要な場合には卵胞を積極的に成熟させ、排卵を促すために、ホルモン剤を併用する場合があります。いわゆる排卵誘発剤ですが、当院では患者様の個人差に合わせ、体に過剰な負担をかけないホルモン療法を行っています。

人工授精(Artificial Insemination by Husband, AIH)

人工授精は配偶者間人工授精(AIH)といって、夫の精子を妻の子宮の中に人工的に注入する方法です。

人工授精の目的は、精子の移動距離を短くして、卵子が待つ卵管へ到達する精子数を増やすことです。通常の性交では、腟内に射精された精子は自力で子宮頸管を突破し、さらに子宮内腔から卵管へと移動しないと、卵子まで到達できませんが、人工授精によって精子は子宮内腔の卵管入り口近くに注入されるため、精子の移動距離は短くなり、卵管に達する精子数も多くなります。

対象となるご夫婦

●軽度の男性不妊
人工授精はある程度の精子数が確保されないと実施できないため、軽度の男性不妊が対象となります。

●子宮頸管粘液不全
排卵期にもかかわらず子宮頸管粘液の分泌量が少ない、性状が精子の移動に適していない、このような場合には、人工授精によって精子を子宮の中に届けてやります。

●フーナーテストの結果が悪い場合
フーナーテストの結果によって軽度の男性不妊が疑われる場合に、人工授精を試みることがあります。

●原因不明不妊
妊娠に結びつく可能性のある治療を優先させる意味で、人工授精を試みることがあります。

●ED(性交障害)など
EDのほか、夫婦双方、あるいはどちらかに性交への嫌悪感がある場合にも、ご夫婦の希望によって人工授精を行うことがあります。

具体的な方法

●細く柔らかいカテーテルを使用します
人工授精専用の注入用カテーテルに精子を吸引した上で、子宮内に挿入し、精子を注入します。

●所要時間は5分程度です
人工授精それ自体の所要時間は5分程度ですが、精液の採取や洗浄濃縮などの準備を含めると、全体で1~2時間程度かかります。

●痛みはほとんどありません
細くて柔らかいカテーテルを使用するため、痛みはほとんどありませんが、子宮の傾きに個人差があるため、軽い痛みを感じる方もいます。

妊娠率を上げる工夫

人工授精の実施にあたっては、妊娠率を高めるために下記のような方法を併用します。

●排卵を促すホルモン療法
成熟した卵子を排卵させるために、ホルモン剤を用いて積極的に卵胞の発育を促す場合があります。

●精子洗浄濃縮法
精子洗浄濃縮法は、精液中に含まれる雑菌や元気のない精子を取り除き、正常な形の精子や運動性の高い精子の濃縮液を回収する方法です。
当院では、ピュアセプションによる単層攪拌密度勾配法により遠心分離する方法を採用しています。

●タイミング法
タイミング法を併用して排卵時期を正しく予測し、妊娠率を高める努力をします。

●凍結精子の活用
原則として精液採取は実施日当日ですが、長期の出張や体調によって採取できない、精子数が少ない場合もあるため、あらかじめ凍結保存した精子を融解(解凍)して用いることもあります。その場合には、融解後の精子の状態を観察し、複数回分の精子を合わせて用いることがあります。

●黄体機能のサポート
受精卵が着床する子宮内膜の状態を調整するため、黄体ホルモンの投与なども行われます。

人工授精のプロセス

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精子凍結保存と人工授精

1回の精液採取で一定数以上の精子数が確保できない場合、複数回分の精子を凍結保存し、融解(解凍)して人工授精を行います。

●軽度の乏精子症、精子無力症、奇形精子症に有効な方法です
精液検査の結果、乏精子症(精子数が少ない)、精子無力症(活発に動く精子数が少ない)、奇形精子症(形が正常ではない奇形精子の数が多い)の場合があります。
最近は、軽度の男性不妊が多くみられますが、すぐに高度な生殖補助医療(男性不妊では顕微授精)に頼ることなく、まずは、人工授精にチャレンジすべきと考えます。

●洗浄濃縮したのちに凍結保存を行います
人工授精は、一定数(1ml中1500万個)以上の運動精子を用いて実施すると、妊娠成功率は高くなります。
このため、まず、精子洗浄濃縮により運動性の高い精子を選別したのち、マイナス196度の超低温を維持する液体窒素の中に保存します。

●人工授精には3回分程度の凍結精子を用います
個人差はありますが、軽度の男性不妊では3回分程度の洗浄濃縮精子を凍結保存します。精子凍結保存の安全性は医学的にも確立されており、ほぼ半永久的に保存が可能です。 あとは、女性の排卵時期を正確に予測し、成熟卵子の排卵のタイミングを計って、凍結精子を融解して人工授精を行います。

当院人工授精・精子凍結保存等費用

当院人工授精,精子凍結などの費用

種別 内容 保険 自費(税込) 備考
精子検査 基本手技料 8,640円  
人工授精-AIH 精子処理料金+基本手技料+薬代 28,750円  
精子凍結 精子凍結基本手技料(初回1本、3カ月間の保存料含む) 20,000円  
  精子凍結基本手技料(2回目以降)1本毎に +15,000円  
  凍結保存料(半年間につき) 7,500円  
精子融解 精子融解料(基本手技料など) 0円  

 

増えている男性不妊を防ぐ生活法
最近、精液検査の結果がよくない方が非常に増えています。精子を作る造精機能には大きな問題はないのに、軽度の男性不妊となっている男性が増えているのです。

●セックスレスは精液所見を悪くする!
精液の性状は過労やストレスによっても変化します。軽度男性不妊の背景には、多忙な仕事による疲労や心身のストレスがあると思われますが、目立つのがセックスレスによる膿精子症です。
膿精子症の主原因は尿路感染症などの炎症ですが、セックスレスによって精液が滞留し、白血球が増えるのも重要な原因となります。
性交およびマスタベーションによる射精間隔が3~5日以上あくと、精液中には白血球が増えて、膿精子症となることがあります。
欧米の研究では、射精間隔が短いほうが精液所見はよくなるとされています。セックスレスは精液所見を悪くすると心得てください。

●サウナ、長風呂などで精巣を温めるのは厳禁!
精巣の精子を作る力は、高温刺激で低下します。長時間の入浴、高温のサウナ、ピタッと股間を包むブリーフなどで、精巣を温めすぎないようにしましょう。また、スポーツや通勤などで、自転車に長時間乗る習慣も要注意!です。