不妊症「不妊における鍼灸治療の効果」
不妊における鍼灸治療の効果
当院において人工授精を受けられた方を対象に鍼灸の治療効果を検証してみました。
人工授精を受けられた187名を対象に、人工授精+鍼灸治療を行ったグループと人工授精のみのグループに分けて妊娠成績を調べてみました。
結果は
「人工授精+針灸」の妊娠率と、「人工授精のみ」の妊娠率を比較すると、鍼灸を取り入れた方が10%も高く、また流産率も鍼灸を取り入れた方が10%も低いことがわかりました。
では、鍼灸治療を行うことでなぜ妊娠率が2.1倍も上昇するのでしょうか?
卵子の質が向上
鍼灸により、骨盤腔内の血流が増加することで、卵巣や卵巣周囲の血流が改善し、細胞膜の透過性が高まります。そして細胞の良好な代謝が行われることで質の良い卵子が育ちます。良好な代謝は卵子のDNA修復力を高め、卵子の質の向上に繋がります。
子宮内膜の着床能の改善
腰部にある中髎(ちゅうりょう)と陰部神経刺鍼点というツボに鍼を刺入し、20分間鍼通電を行うと、子宮内膜の血流量が有意に増加することが明治鍼灸大学と名古屋の明生鍼灸院の共同研究で明らかになりました。血流量の増加は子宮内膜の増殖化とその後に続く脱落膜化(着床の窓が開く)の調節に役立つものと考えられます。
免疫機能の正常化
免疫機能の異常で精子や受精卵を異物と誤認識する場合があります。
誤認識すると、それを排除しようとする力が働きます。
自律神経の緊張やストレスによって免疫機能が過剰反応してしまう為です。
鍼灸には自律神経の緊張やストレスの緩和に役立ち、免疫機能を正常化して免疫の誤作動を防いでくれます。
精子の質の向上
鍼灸は男性不妊にも効果があります。
精子の濃度や運動率、正常形態精子率の改善、EDなどの射精障害にも有効です。
BMI値が高めの方にもお薦め
内臓脂肪の多い方(BMI値が25以上)は妊娠しづらい傾向にあります。
脂肪細胞には内分泌機能があり、エストロゲンなどのホルモン値に悪影響を及ぼすことや、脂肪細胞から放出されるアデポカインという物質がインスリンの働きを妨げ、インスリン抵抗性に陥って、PCOSなどの排卵障害を引き起こし、不妊のリスクを高めます。
お腹と耳のツボに鍼を刺すと、食欲中枢が抑えられ食べる量が減ってきます。
体重の5%ダイエットすることによって妊娠率が向上することは、ハーバード大学が行った全米看護士健康調査でも明らかになっています。