当院において人工授精を受けられた方を対象に鍼灸の治療効果を検証してみました。
人工授精を受けられた187名を対象に、人工授精+鍼灸治療を行ったグループと人工授精のみのグループに分けて妊娠成績を調べてみました。
n-187名
「人工授精」 75名
「人工授精+鍼灸」 112名
「人工授精+針灸」では妊娠率は19.64%(22/112)、流産率4.5%(1/22)、
「人工授精のみ」の妊娠率は9.33%(7/75)、流産率14.2%(1/7)
鍼灸治療を行うことで妊娠率が2.1倍も上昇することが明らかになりました。
では、なぜ鍼灸を行うと妊娠率が上昇するのか?
考えられる事は
卵子の質が向上する。
骨盤腔内の血流が増加し、卵巣や卵巣周囲の血流が改善し、細胞膜の透過性が高まり、
細胞の良好な代謝が行われることで質の良い卵子が育ちます。良好な代謝は卵子のDNA修復力を高め、卵子の質の向上に繋がります。
子宮内膜の着床能の改善
腰部にある中髎(ちゅうりょう)と陰部神経刺鍼点というツボに鍼を刺入し、20分間鍼通電を行うと、子宮内膜の血流量が有意に増加することが明治鍼灸大学と名古屋の明生鍼灸院の共同研究で明らかになりました。血流量の増加は子宮内膜の増殖化とその後に続く脱落膜化(着床の窓)の調節に役立つものと考えられます。
免疫機能の正常化
免疫機能の異常で精子や受精卵を異物と誤認識する場合があります。
誤認識すると、それを排除しようとする力が働きます。
自律神経の緊張やストレスによって免疫機能が過剰反応してしまう為です。
鍼灸には自律神経の緊張やストレスの緩和に役立ち、免疫機能を正常化して免疫の誤作動を防いでくれます。
以上のような働きが妊娠率の向上に繋がっていると思われます。